北の通り道

 

2001年10月10日(水曜)

午前6時

まだ外は朝日が昇る前で暗いが、鳥の鳴声で目覚めた。

「何の鳥だろう?」と聞き耳を立てていると、白鳥の鳴声が明け方の空に鳴き響いている。

北海道らしい朝の目覚めとなった。

その前に寒さで目覚めた事も否めないけどね!

身体を起してコーヒーを沸かしながら今日の予定を立てる。

摩周近辺の地図 摩周から網走間の地図

今日の一人会議開始。

最初に「多和平(たわだいら)」に行った後、「摩周湖」(ましゅうこ)を眺めてから「硫黄山」(いおうざん)へと向かい、「和琴半島(わことはんとう)」で散策してた後「美幌峠(びほろとうげ)」に行ってから「阿寒湖」(あかんこ)と行って何処かで寝ると言う計画。

摩周方面までかなりの距離があるので今日は早く出発する事にした。

車を国道243号線に乗せて別名パイロット道路を東へと走らせて20分位で、のどかな牧草地が広がる景色を眺めながら運転していると、牧草地にエゾ鹿の群れが居た!

8匹位の群れでどうやら野生みたい。

縦横無尽に牧草地を渡り歩いている。

 

北海道らしい光景だと思いつつ、一路摩周の手前にある「多和平」へと向かった。

 

 

午前7時30分

多和平に到着。

やはり朝が早い為、僕の他に誰も居ないのでノビノビ見て周れる。

この多和平は360度何処を見ても地平線が広がる大パノラマで北海道らしい景観が楽しめます。

この光景を見てまたもや自然の感動を覚えて鳥肌が立ってしまいました。

 

元々この多和平はライダーがキャンプを貼る場所で、それがクチコミで広がる。

昔なら何も無かったらしいが、クチコミが広がり一般の人まで押し寄せて来る為に施設が整えられた。

それほど、景観が素晴らしい場所でキャンプなんてやったら星が綺麗なんだろうと思ったが、私にはここでキャンプは出来ないと前から思っている。

それはいわくつきの場所なんです。

知りたい方は→もう一つの多和平

北海道らしい風景を堪能したら、次の「摩周湖」へと移動開始。

 

 

午前8時30分

摩周湖第三展望台へとやって来た。

本当ならその手前にある第一展望台からも見ようと思ったが、「こっちの第三の方が標高が高いので景色も良いだろうと」思い第一展望台を飛ばして第三展望台へとやって来た。

道路の脇にある無料駐車場(第一展望台は有料)に車を停めて降りると、目の前には硫黄山と支笏湖が一望出来る。

ここだけでも素晴らしい景色だが、ここの目的は霧の摩周湖。

霧が晴れていると女性は婚期が遅れ、男性は出世が遅れると言う有難くない言い伝えがある。

さて、私の出世は、、、、、、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当分先になりそうです、、、、。(T−T)

見事に霧が発生しておらず、コバルトブルーの湖面が見事に澄み渡っている。

この摩周湖は周りに山に囲まれた典型的なカルデラ湖で、流水する川も無い為に土砂が流入せず、プランクトンの発生が最小限に抑えられている為に、ここまで綺麗な色をしている。

数年前までは世界第一位の透明度を誇っていたが、近年(現在2001年)エゾ鹿が大量に繁殖した為、湖の周りにある木々を食い荒らして土砂が流入してしまい、透明度が下がった話しもある。

でも、ここまで綺麗な水の色した湖は国内でここだけでしょう。

出世が遅れる事を多少、気にしながら次の目的地「硫黄山」へと車を走らせた。

 

 

午前9時

摩周周辺で定番スポット硫黄山に到着。

車から降りると目の前に山肌が現れて、大地の息吹をしている硫黄山が見事に広がっている。

駐車場から歩いて行くと、鼻にツ〜ンと来る火山地帯特有の硫黄の匂いがして来た。

地表からは高温の蒸気が絶え間なく噴出しており、今現在も火山活動しているのが、ここではっきりと感じられる。

 

 

それにしても、人間と言うのは何処でも商売魂があるね〜。

この硫黄の蒸気が噴出した場所で温泉タマゴを売っているよ!

いやはやこれには何も言えません。

 

 

午前9時30分

屈斜路湖畔を車で走っていると、「砂湯」なる場所を見つけたので立ち寄って見る。

「一体何だろう?」思いつつ湖畔に近づくと、湖畔の周りに湯気が立ち昇っている。

看板には「お湯が沸いてます」と書かれているを見ていると、関西から来たおばちゃん(またか!)が「ほんま、温かいわ!」と言いながら木枠のお湯に手を入れて言うので、半信半疑で「本当ですか〜?」と言いながら、手を付けてみると確かに温かい。

こんな場所でも温泉が沸くのに驚いた!

確かにこの辺りは、温泉宿が沢山点在しており、ここに来る途中に「川湯温泉街」がある位だからあってもおかしくない。

でも、この木枠は確かに天然の露天風呂になるが、こんな観光客が居る中で入るのは豪快な人じゃないと入れないよ。

 

 

午前10時

屈斜路湖に飛び出した小さな和琴半島に到着。

駐車場から歩いて行くと和琴半島の散策コース入り口に到着。

この場所でどうしても気なる事がある。

車もここまで入って停められるが、その脇に露天風呂がある。

しかも、丁寧に脱衣所まで設置されており、いつでも入浴可能なんだけど、、、、、こんな人目に付く所で入る勇気は私にはありません。

しかもお湯に手を入れてみると見事にぬるいし、なんか緑色のコケまで生えていて凄いワイルドな感じ、ここも豪快な人じゃないと入れないな!

さて和琴半島の先端まで行けるらしいが、全長約2.5キロと書かれている。

どうせ今日はこの一体を見て周るだけだから、ここで少し森林浴でもしながら1時間歩いてみよう!

入り口と書かれた方から入って行くと見事に森の中を歩いている感じ、すぐ左には屈斜路湖の湖面が見える。

そんな中トコトコ歩いていると、一人だけで歩いて事に気づいた。

ちょっと足を止めて居ると、風に揺られた木々の音と鳥のさえずり以外は一切の無となっている。

「何だかこんな感じは久々」だと思いつつ、しばらく自然の鑑賞を聞いていた。すると何処かで別の鳴声が聞こえて来た。

「あれ?」と思い耳を澄ませると、何処かで聞いた事のある鳴声だった。確かこれは、、、、危険危惧に指定されているアカゲラではないくゎ〜!(変な知識があります)

 

見るのは初めてです。

トボトボ歩いて行くと湖面の見える場所に出ると、一部分だけ草の生えない地面があり、そこだけコオロギが沢山いた。

どうやらここだけ地熱で暖められているらしい。

以前に地熱が噴出していた穴を見る事が出来る。

さらに進むと和琴半島の先端に出る。和琴半島は元々火山が噴火して冷えて島になっており、湖面を見ると噴気が立ち昇っているのが目で見て分かる。

江戸時代にここを訪れた人が夜でも昼間の様に明るかったと記されている位に昔は地獄みたいと「オワッコツ地獄」が名づけられた。

オワッコツ地獄を後にして駐車場に戻る道を歩いて行くと、小屋があったので不思議に思い近づくと、小屋の横から湯気が立ち昇っていてここでも温泉が沸いている。

どうやらこの小屋は入浴温泉らしい、誰も居ない事を確認して中に入るとちゃんとした作りで風呂があった。

試しに手を入れてみると「熱い!」思わず手を引っ込めた。

どうやら湖の水で埋めないと入れないらしい。

何も知らないで入ったら裸のまま水をくみに行かないければならない。

「入りたいな〜」と思うけど手ぶらで来たから、今回は諦める事にした。

「でも夜中とかに入りに来たら星空を見ながら入る事が出来る」と考えたけど、真っ暗な道を一人で来るのは勘弁と思った。

和琴半島を一周し終えて、駐車場まで歩いて行きながら湖面を見ているとやはり釣りの衝動に駆られてしまう。

が!この屈斜路湖は湖底噴火で酸化しているから魚はほとんど居ないらしい。

駐車場に戻り、次は美幌峠と向かった。

 

午前11時30分

和琴半島から国道243号線で山裾を上って行くと美幌峠に到着する。

ここは目の前に屈斜路湖の風景を一望出来る景観地だ。

車から出ると流石に山の上だけあって肌寒い、防寒体勢で展望台の方まで10分位の階段を登って行くと、青く澄んだ屈斜路湖が目の前に広がっていて、その先には硫黄山も眺める事が出来る。

寒さで長居出来ないのでここで切り上げる事にした。

何だかバタバタした1日になりそうだけど、ここからは一気にマリモで有名な「阿寒湖」へと向かう為、来た道を摩周方面へと戻り、国道241号線を西へと走り始めた。

 

 

午後2時

国道241号線を走っていたら、道路工事をやっていて時間をかなりロスしてしまった。

とにもかくにもようやく阿寒湖に到着。

阿寒湖と言えばマリモで有名だけど、これって本当に生物なのかと思う位に不思議な生き物ですよね!?

実際にこのマリモが野球ボール位のサイズになるには、約200年かかるらしい。

何とも気の長い話しだ。

昼食を済ませていなかったので、近くにある食堂で休憩を兼ねて食事を取る事にした。

食事を待っている間、携帯電話にメールを受信したので見ると、ネットで知り合った方とここで待ち合わせの内容だった。

修学旅行で北海道に来ると言うので、せっかくだから顔を会わせようと言う事になり、最初は摩周で会おうと思ったけど時間が合わないので阿寒湖で待ち合わせる事にした。

食事を澄ませると食堂のおばちゃんが「一人で旅行かい?」と聞いてきたので、車で旅行している旨を伝えると「車で寝泊りしているのかい!?雨降った時は寒いでしょう。」と言いながら、奥の方へと何かを探しに戻り、道内の旅館・民宿のパンフを持って来てくれた。

「旅はね、無理しないのが一番。寒さで風邪を引いたら割りに合わないから。雨等が降ったら無理しないで宿を取りなさい」と言いながら僕に渡してくれた。

「ありがとう!助かります。」とお礼を言いながらパンフを貰い、これから北上するから何処かで体調を崩しても台無しになるので、摩周で一旦宿を取ろうかとこの時少し考える。

食事を済ませると修学旅行で来ているハンドルネーム「マスカット」さんに合う事が出来た。

初対面と時間が余り無いので大した話しは出来なかったけど、その節はマスカットさん観光情報ありがとう!

マスカットさんと別れるとすでに時計は午後3時過ぎになっていた。

今から遊覧船とか乗っていたら、今夜寝る予定の摩周まで行くのに暗くなると思い、諦めていく事にして再び国道に乗り走ると先ほどの決断が正解で、相変わらず工事渋滞で中々進まない。

摩周に戻ったのは午後5時になっており、辺りは暗くなり始め追い討ちをかける様に冷たい雨が降り始めて来た。

阿寒湖の食堂のおばちゃんの話しを思い出し、今夜は無理をしないで摩周の街にあるホテルを取る事にした。

もちろん温泉付き。

ちょうど旅を始めて1週間で初めて宿を取る事となり、暖房の効いた部屋でくつろぐと初めて落ち付いている自分に気づいた。

今まで何処の駐車場で寝ようかと夕方になり慌てて、一人寂しくラジオを聞きながらシュラフに包まっている自分が、ビクビクしていた様な気がした。

確かに高校までキャンプとかで似たような体験をしていたので「大丈夫だろう!?」と安易に考えたが、知らない土地で車で寝るという事が大変な事だと思いながら就寝する事にした。

 

 

 1日の走行距離269キロ

 

 

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