函館(旅は道連れ)編(後編)

1995・9・20(火曜日)

 

午後3時過ぎ

ブラっと街中歩いていて、喫茶店があったので店内に入ってみた。

女性の店員が一人で居た。

アイスコーヒーを注文して、煙草に火を付ける。

シュボ、ぷは〜(ー ー¥ー〜・

この後をどうしようかと考えてると女性の店員に声を掛けられた。

「お一人で旅行ですか?」

「ええ、そうです。」

「何処を回れました?」と聞かれたので、行った場所を一通り話した。

「それじゃ、”トラピスチヌ修道院”はまだいってないの?」

「ええ、これから行こうと思っているんですが。」

「これからだとたぶん見れないと思うよ。」

「え、そうなんですか?」

「たしか、午後5時前には中に入れないと思ったよ!」

確かに後で調べると、16時半には中に入れないと書いてある。

「それじゃ、今から行ってもしょうがないですね。」と笑いながら言った。

店内に写真があったので見回してみると、水の中の風景や湖の写真が飾られている。

「ダイバーとかやっているんですか?」と聞くと「ええ、仕事の休みに道内にある湖や海に潜りに行くですよ!」と聞き凄いな〜と感心してしまう。

どうやら、ここのオーナーみたいだ。

しばらく、そこの喫茶店の女性のオーナーと世間話しをしてたら、時計の針が午後4時を過ぎていた。

この後、予定があるので喫茶店を後にして、一旦ホテルに戻った。

 

午後4時半過ぎ

私はホテルの自分の部屋に戻った。

お土産品や必要ない物を部屋に置き、しばらくくつろぐがこの後、カフェで知り合った岬さんと待ち合わせをしているので、そんなにゆっくりはしていられない。

午後5時半過ぎにホテルを後にして、待ち合わせのカフェに向かった。

待ち合わせ場所に着くと、すでに岬さんはカフェの椅子に座っていた。

「すみません、遅れて。」

「あ、こんばんわ!平気よ、今来た所だから」

う〜ん、いい人だ。

「夕食は食べた?」

「いえ、まだですが。」

「時間もまだ早いし、近くのお店で夕食でも食べない?」と聞かれ、一緒にカフェを後にした。

私達は近くのBAY函館にあるバイキングレストランに入った。

料理を取り、席に着いて食事をしながら話した。

「滝君って高校生かと思った!」

確かに私は童顔だけど、高校生に見られるとは以外だった。

「私の歳、幾つだと思う?」

女性にそう聞かれると困る。あまり、年上と答えると嫌われるし、年下だと嫌な顔されるし、これは困った。(^^;
とりあえず、「24歳位かな?」

「ぶ〜惜しい!25歳です。」笑いながら答えた。

「でも、女性の一人旅なんて、珍しいですね」と聞くと岬さんは、答えた。

「そうだよね!確かに珍しいかも。たまには一人旅もいいかな〜と思って北海道に来たの。でもね、女性の一人旅ってあまり、いいことないよ!宿の手配も大変だし、それにね昨日なんて、函館に着いた途端にナンパされて、嫌になっちゃった。」

岬さんは笑いながら続きを話した。

「それで、立待岬で滝君が私の事を見てて、またナンパかな〜と思ってたら、見ているだけだったから私は軽く挨拶したの。そしたら、挨拶してくれたから、いい人だな〜と思ってたのよ。それで、カフェに居たから声を掛けた訳!」

私はそれを聞いて照れてしまった。(*^^*)

「それにね、男性がいればナンパをしてくる人もいないと思うし、夜景見るのも一人じゃ寂しいからね。」

「なるほど!でもこれじゃあ、岬さんがナンパしてきたのと変わらないよ。」

「そうかも!」と笑った。

食事と話しを終えた私達は外に出た。

時計を見ると午後7時を回り、辺りは夜の帳が落ちていた。

私達はロープーウェイの乗り場に来た。

ロープウェイが来るのを待つ間、私は思う。

それにしても、背が高いな〜、私は前にも書いたけど160しか背がない。岬さんはヒールを履いているから、170近くもあるし、さらに美人だ。これじゃ、世の男性はナンパして来る訳だ。

ロープーウェイに乗り、山頂の駅に向かった。

ロープウェイ内からでも函館の夜景が見える。

それにしても、普通の家族連れの中にやはりカップルは居る。

山頂の駅に着くと、私達は函館の夜景を見た。

これには、流石に驚く!

写真とかで見るよりも、実際に自分の目で見た方が感動だ!よく、夜景を見た人は「宝石を散りばめた様だ」と言うがまさにその通りだ。

「本当に綺麗!」と岬さんは夜景を見ながら言う。

それにしても、さっきから気になるのが男共の視線だ!

どうやら、岬さんの事を見ている様だ!

う〜ん、確かにその気持ちは解る。たぶん、私が居ないとナンパはされていただろう。(^^;

やはり、山の上は肌寒い。

私は長袖の袖をまくってていたのを下ろした。

その時、1組のカップルが写真を撮ってくれと頼まれたので、撮ってあげた。

ついでに、私達の写真を撮ってくれると言うので、ついでに撮ってもらう。

そしたら、女性の方が「ご姉弟ですか?」と言われ私達は互いの顔を見て笑った。

「ええ、そんな所です。」と私は答えると女性は不思議な顔をした。

「確かに、姉弟と間違われるかもしれないね!」

「そうかしら?結構いいカップルに思うけどね。」

等、冗談を言い合ってた。

函館山を後にして、近くある教会に向かった。

函館の夜はいたる所でライトアップされている。

最初に向かったのが”カトリック元町教会”、薄い黄色にライトアップされた教会は幻想的な風景をかもしだしていた。

その後に次々と回った。

”聖ヨハネ教会”・”函館ハリストス正教会”・”旧函館区公会堂”・”旧北海道庁支庁庁舎”・”旧百十三国立銀行”・BAYエリア地区を見て回った。

「滝君はお酒、行ける方?」と突然言われたので、「そんなに強くはないですよ!」

「そこにBARがあるけど、行かない?」

「いいですよ!」と言い私達は近くにある、BARに入った。

ビールを注文して、二人で乾杯!

岬さんはビールをアっというまに飲み干し、次にいった。私は唖然としてしまう。(ーOー

「どうしたの?飲まないの?」と私の顔を見た。

「いえいえ、今日は飲みますよ!」と言いながらビールーを飲み干し2杯目に入った。

岬さんの顔がほんのり赤くなってきた。

「滝君は顔に出ないね!」

冗談、すでに結構飲んでいて、すでに酔っている。(ヒック)

「あまり、顔に出ないから。」(この時点でかなり酔っている。)

「さあ、どんどん飲んで!ここは私がおごるから!」

かなり岬さんは出来上がっている。

2時間位、色々な話しをしながらお酒を飲んでいた。

酔っていて何を話していたのか全然覚えていない。(^^;(ヒック)(この後の2行目まで、あまり記憶が定かではない!)

外に出た私達は酔い覚ましの為、赤レンガ倉庫群の所のベンチに腰を下ろした。

夜風に当りながら、酔いを覚ました。(やっと、記憶がハッキリとしてきた)

少し、話しをしていたが、話しのネタがなくなり沈黙が続いた。

その時に、肩になにか当たったと思い見ると岬さんが肩に寄り掛かって寝ているではないか!(これは役得!!)普通なら、肩に手を掛けたりするが、いかんせん私は小心者でそんな度胸はなかった。(く〜〜)

とりあえず、風邪をこじらせるといけないので、隣に置いといた上着を彼女に掛けてあげた。(う〜ん、これはキザだ〜)

しばらく、岬さんを起こさないようにしていたが、結構辛かった。

1時間もしない内に彼女は起きた。

「あ、私寝てた?」と驚きながら、私の肩から離れた。

「ごめん!なんか勝手に誘ってこんな事をしてもらって、、、」

そう言いながら、岬さんは私の上着をたたんで私に返した。

しばらく、沈黙が続いた。

「ねえ、良かったら明日も一緒に観光しない?」

ちょと、以外だったけど明日は東京に帰る日だ。

「う〜ん、いいけど明日、飛行機で帰らないと行けないから、午前中なら大丈夫だけど。」

「それじゃあ、午前中だけでも、一緒に観光巡りしよう!」と張り切って言った。

待ち合わせは函館駅に午前9時となった。

そこで別れて、私はタクシーを捕まえて、ホテルに戻った。

 

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