馬産地編

1995・9・16(土曜日)

 

9月16日富川の民宿午前7:00

 

起床した後に朝の身支度をおえて、さらに朝食を済ませて、午前8:30頃に民宿を後にする。

昨日、牧場見学の連絡をしたシンボリ牧場に向かう。

しかし、主な交通の手段はない!

レンタルサイクルでもあればいいがそれらしいのもないし、かと言ってタクシーを利用しるのももったいないので、徒歩で牧場に向かう。

けれど、その距離は半端ではない!

民宿から牧場まで大体、2〜3Kmの道のり。

これは都会育ちの私としては大変だ!(^^;

とりあえず、気張って歩くしかない!!

民宿の前に走っている国道235号線をひたすら歩く。

回りの景色を見ながら歩いた。

所々に牧草地帯が広がっていて、昨日見た河岸に放牧された馬達も見えていた。

優雅に牧草を食べている。

とことん歩き、1時間位だろうかやっと沖田牧場に到着!

着くと確かに”沖田牧場”と書かれた標識があるが、どう見ても普通の家の門構えではないか!?

私は「ここでいいのか?」と思いながら中を見ると輪乗りの柵(馬の訓練施設と言った方がいいのかな?)はあるし、馬房(馬の寝床)もあるので中に入ってみた。

中に入ると何人かの男性が働いていたので声を掛けてみた。

「すみません!牧場見学に来た、滝(ハンドルネームね!)といいます」そしたら、牧場の主人らしい人が答えた。

「あ、どうも。すみませんが手が離せないので適当に見て行って下さい」というが私は何処をどう見たらいいのか迷った。

仕方がなので、近くにあった馬房に足を運んだ。

そこには、2頭の馬が馬房に入っている。

私は頭を出している馬に近寄った。

やはり、間近で見るとさすがにでかい!!!

私の身長が160cm(低いよ〜)だけど、馬の方がでかいので上を見る形になってしまう。

しかし、知らない私を見ても馬の方は落ち着いている。

普通なら何かリアクションがあると思ったがこの馬は平然としている。

しばらく、馬を見ていた。

馬の毛は鹿毛で、頭の所は綺麗に前髪が落ちていて整っている。

普通の人から見ると愛敬みたく感じるかもしれないが、何か堂々とした風格を感じる。

又、瞳がとても綺麗で吸い込まれる感じさえ覚えてしまい、安らぎを感じた。

そこに従業員の人が来た。

「どうです?綺麗でしょう?」

「ええ、とても綺麗ですね!」

「こいつは”シリウスシンボリ”と言う馬なんですよ!」と言いながらパンフレットを私に渡してくれた。

私は驚いた!!

私は最近、競馬を始めたばかりだが、小さい頃から親(ちなみに両親)が競馬をやっていたので有名な競争馬は知っている。

”シリウスシンボリ”の事については一番下でご紹介しておきます。

「それにしても、最初に”シリウス”に目を付けるとは驚いたよ!馬を見抜く素質はあるよ!」

と言われてしまい私は照れてしまった。(*^^*)

その人と少し話し混んで、仕事の方に戻って行った。

私は馬房を後にして、牧場内を見学してた。

さっきから気になっていたのがあった。

牧場の人達が子馬を引き連れて歩いている光景だ。

話しを聞くと、離乳と事をやっているらしい。

詳しく説明すると、子馬と母馬を別々の柵に入れて、子馬を競争馬として訓練をするらしい。今の内にやらないと3歳でデビューが出来ないらしい。

それにしても、子馬の鳴き声と母馬の子を思う鳴き声で辺りに響いていた。

さすがの私も胸が裂けそうな気持ちになる。

けれど、先人の知恵と言った方が良いのだろうか?

昔からこのようにしてきたのだろう?

牧場内を一通り見て、従業員の人達と別れの挨拶をして、牧場を後にした。

  

午前11時過ぎ

すっかり、牧場で時間を食ってしまった。

午後の予定としては静内の方までしかたがないので、駅に出る事にする。

国道235号線を日高門別に歩きだした。

20分経ち、さすがに歩き疲れた。

運が良い事に喫茶店を見つけ軽い昼飯にする。

エネルギーを補充した私は駅に向かい歩き出した。

どうでもいいが、さっきからバスが1台も通らない!。

とにかく、ひたすら歩き駅に向かう。

40分かけてようやく日高門別の駅に到着。

運が良い事に10分待ちで電車が来た。(乗り遅れると1時間待ちは当たり前)

列車に揺られる事30分で静内に到着。

ここ静内は、馬の牧場があちこちに点在する。

ちなみに桜の名所で有名な”二十間道路桜並木”は静内の駅から、山沿いの方に4Km進んだ所にあります。

私は改札口から出ると駅前のロータリーに出た。

駅前と言っても、ごくありふれた駅前である。

けれど、違いと言ったらここは日本有数のサラブレットの産地である。

私は駅前の通りを歩くと、早速目に入ったのが駅前にある馬具装飾専門店があったので入ってみると、鞍・手綱・鐙・蹄の鉄等の馬に関する物ばかりで、牧場関係者のご用たちのお店だった。

けれど私はどうみても、一般の旅行者なのにお店の中を案内された。(笑)

馬具の説明をしてくれて、かなり勉強になった。

普通のお客さんにもお土産が売っていたので、帽子とキーホルダーを買っていった。(^-^)

店を出た私は駅前の通りを歩いた。

駅周辺は普通の家並みやお店並ぶが、少し外れると牧場が見えてくる。

普通の道路に面して、牧場の柵が並び、そこから馬達が顔を除かしている。

私は”北海道市場(競走馬のふるさと北海道案内所)”に向かった。

ここは「お目当ての馬が何処にいるか?」「見学時には何に注意すか?」等、見学に必要な情報を提供してくれる所だ。

私は少し館内を見て回った。

30分で外に出た。

近くにはWINS(場外馬券売り場)があったのでそこに入ってみた。

入ると異様な感じを覚えた!

何故ならば、そこらへんにいる人達はどう見ても牧場関係者ばかりで、私が浮いている。

まあ、レースだけでも見てようとと思いモニターの近くで見ていると、回りから視線を感じてしまう。(^^;

しかし、オッズ(配当表)が2種類あるのに驚いた。

普通なら、枠・馬連の配当があるけど、ここはそれが2種類もある。

後から聞いた話では、例えば普通の配当が50倍の配当だとすると、ここは10倍になっている事がある。

つまり、いつも馬を見ている牧場の人達から見れば調子の良い馬と悪い馬の見分けがつき、配当が下がるらしい。あくまでも、聞いた話です。

レースが終わると勝った馬の牧場の人達で騒いでいた。

やはり自分の生産した馬が勝つと良いものです。

な〜んて事をしていたら、時間が経ってしまう。

私は静内の駅に向かった。

静内から再び富川の宿に戻る。

車中ずっと海を見ていたが、今日も夕日が綺麗でとても同じ日本とは思えなくなってきた。

考えたら今日は昼飯を食っていなかった。(笑)

宿に帰ったら食いまくるぞ〜

そんな事を考えながら、夕日は日高の海に消えていった。



シリウスシンボリ

ここから競馬の専門用語が連発します。ついてくるように!
(駄目だよ!お客さんを挑発しちゃ!)

”シリウスシンボリ”は3歳(競争馬は3歳でデビューする)の時に驚異の強さを発揮したが3歳のG1(グレードレース、格付けで一番上)の朝日杯3歳ステークス(3歳の雄馬の最強決定選)は残念ながら脚部不安(足に異状がある為「サラブレットの足はガラスの足と言われ些細な事でも怪我す事が多い」)の為に断念したが、翌年の日本ダービー(4千数百頭の頂点を決めるレース、もちろんG1であり、日本最高峰のレースでもある。)は見事に1着。
同年の7月13日に”シリウスシンボリ”の海外遠征に向った。


2年間のヨーローパ遠征をした。
結果としては”イギリス”のキングジョージ6&クイーンエリザベスステークス(数字の表示が本当はローマ数字)は8着。
9月、西ドイツ(東西併合前)のバーデン大賞典(G1)で4着。ロイヤルオーク賞(G1)で3着。
翌年のレースは勝てないまでも、コンスタントな成績を残した。
そして、フランスの凱旋門賞(G1で世界最高峰のレース)に出走。
このレースは凄い顔ぶれで揃った。
ダンシングブレイヴ(この年の凱旋門賞の優勝馬)
ベーリング(フランスダービー優勝馬)
トリプティク(チャンピオンステークス優勝馬)
シャーラスタニ(イギリスダービー優勝馬)
アカテナンゴ(ドイツ最強馬)
等の顔が揃い、結果として14着に終わった。
約2年の海外遠征をして、イギリス、フランス、イタリア、とドイツを転戦して、14戦・2着1回・3着2回・4着4回と成績を残し、日本に帰国した。
そして、最近になって海外で日本の馬達が大きなレースを勝つ事が多くなり、シリウスシンボリが大きな仕事をしたと私は思う。

 

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