北の通り道

 

2001年10月6日(土曜)

 

午前6時

突然目が覚めた。

車の窓は水滴でびっしりになっている。

無理もない。

一晩中、車の中でイビキをかいて寝ているんだから。(*^□^*;

とにかく起きて朝食の準備に取り掛かる事にし、携帯コンロに小さな鍋で水を沸かし、コーヒーを一杯飲んで朝食終了〜!

えっ?それだけかって、冗談!コンビニでオニギリでも買って食べますよ!(味気ないな〜)

とにかく出発の準備と今日の予定を考える。

日高〜襟裳間の地図

今日の予定一人会議。

現在位置は「新冠」(にいかっぷ)なので「静内」(しずない)をぶらつき、「浦河」(うらかわ)で温泉に浸かった後、一気に「襟裳岬」(えりもみさき)に行く。

今夜の寝場所はまだ決めていない。

また道の駅を利用する事を考えて地図を見ると「浦河」「静内」の間にある「三石」(みついし)か広尾の先にある「忠類」(ちゅうるい)にしか無い!

もし襟裳岬を見て三石まで戻ると時間とガソリンが持ったない!

忠類までだと同じ位の距離なので今夜の寝床は忠類に決定!

会議終了〜!

 

午前7時

少し早いけど出発して上陸2日目の旅を開始。

静内方面に行こうと思ったけど、近くに小高い丘の上に公園があるので、そこで朝食を食べようとコンビニでオニギリと煙草1カートンを購入すると店員の人が「ライターとゴミ袋のどちらがいいですか?」なんて聞いてきた。

普通なら煙草を買うとライターが付いて来るのが一般的だけど「ゴミ袋って一体、、。」と思ったけど、旅に必要になると思い「ゴミ袋下さい!」そうすると黄色い袋に新冠の文字と馬の絵が書かれていた。
ちょっと面白い土産にする事に決定〜!(* ̄▽ ̄*)♪

公園に着くと眼下には牧場の風景が広がっていて、すぐ近くには2頭の子馬の姿が見えていたので、オニギリを食べながら見ていると変わった子馬がいるではないか!?

一頭は立ったまま草を食べていてこれが普通だけど、もう一頭は座りながら草を食べている。

「こいつは横着しているのか?」と思いつつ自分も横着な朝食を食べてる。(*^□^*;

けど、横着な馬はこれから競走馬になるんだろうけど、「これでちゃんと走れるのか?」とちょいとこの子馬の未来が心配。

 

 牧場の写真

 これは座って食べる前の写真。天気は昨日の影響が残ってせいか、曇り空だけど朝の空気は美味い!

無垢な子馬を見終わって、一路「静内」へと車を走らせた。

 

午前8時

静内に到着すると、学生の通学で駅前は込み合っている中、案内図を見て「牧場見学して〜。」と根っからの競馬好きの本性が出て来る。

日高に来たら「牧場見学したいな〜」と思ってたけど、今回ばかりは時間が余り無いから牧場見学は出来ないのでパス。

早々に静内の街を後にして襟裳方面へと車を走らせると、静内温泉の看板があったが、何処がそうなのか分からないのでそのまま直進して、30分程で道の駅「三石」に到着。

広い駐車場に新しい建物が建っているので最近出来たらしい。

車から降りて建物に入るとスタンラリーを押しているおじさんを見かけたので、様子を見ていると何やら何冊もスタンプを押している。

「何をそんなに押しているのか?」と思ったら、どうやらスタンプラリーのイベントがあるらしく専用の本に押しまくっている。

「やってみたいな〜」と思い専用の本を貰う為に、係りの人に聞いたがすでに無いと言うのです。

悔しいので手帳にスタンプを押して来ました。

 

さて、休憩を取って外に出ると建物の裏に丘があるので登ってみると、海側にキャンプ施設が並んでいるが10月なので誰もいない。

陸の方に目をやるとのどかな牧場の風景が広がっていて、川を挟んで道の駅の隣に「三石温泉」と書いた看板があり、「しょっぱい温泉」と書かれどうやら塩分濃度が濃い温泉らしい。

温泉には入りたいけどしょっぱいのはちょいと嫌だったのでここはパス!

けど、温泉天国北海道まで来たんだから何処か入りたいと思い、駅の中で貰ったパンフレッドに目を通すと「浦河」にレジャー施設と一緒に温泉があるみたいなので、ここで温泉に入る事に決定〜!

ただ午前10時からと書いてあったのでここで時間潰しする事にした。

丘から降りてキャンプ場の方に下りると最近整備されたばかりなのか、新しい建物が並んでいる。

テントも設営出来るがコテージもある。

わりと贅沢なキャンプ場だと印象を受けた。

このキャンプ場の名前がある「三石海浜公園オートキャプ場」(みついしかいひんこうえん)と言う名称らしい。

さらに海の方へと足を運び海を眺めていると、どうしてもある衝動にかられる「釣りして〜!」(

一応、釣り道具は車に積んであるけど何が釣れるのか分からないので、今回は本当に暇な時以外はやらない事にしている。

今はひたすら海を眺める事にした。(

そんな事をしていると時計の針は午前9時を回ったので、車に戻り浦河方面へと車を走らせる事にした。

 

午前10時

苫小牧から134キロ地点。

「浦河」を通り越して「日高幌別」(ひだかほろべつ)に到着。

ここで苫小牧から続いてた国道235号線の終点になり、「襟裳岬」には国道336号線に変わり、内陸の方に走ると国道236号線が「帯広」まで続いている。

温泉のある場所に向かう為、いったん国道236号線を「帯広」方面へひた走る。

両側の景色が牧場の風景に変わる。

先に進むと紅葉に染まったイチョウ並木のトンネルとなっていてとても綺麗でしたよ!

10分程走って「優駿ビレッジAERU」に到着。

 

優駿ビレッジの写真

駐車場に車を停めて温泉セットをリュックに詰め込んで、建物の方に向かうと左の方でおじちゃん、おばちゃんがパークゴルフをやっている。

何だかボールやクラブがやたらにデカイし、ゲートボール版のゴルフみたいな事をやっている。

そんな事お構いなしに温泉施設に足を運んだけど、最初に目に着いた建物ではなくて裏の方から回らないといけないらしい。(*^□^*;

何だか凄く遠回りしたけどようやく着いた。

建物の内のエレベーターで上がり、日帰り入浴500円を払って男風呂に入ると誰も居ない。

「これはラッキー」と思い温泉にゆっくりと浸かれる。

窓からの景色は中々良い感じで、日高の山々が紅葉い染まっていてとても綺麗でした。

温泉に浸かった後湯冷まししていたけど、これが中々冷めずにこの後1時間位身体がポカポカでした。

 

 

午前11時30分

まったりと温泉気分になった所で、一気に「襟裳岬」へと車を走り始めた。

いったん日高幌別に戻り、国道336号線を10キロ位走ると「様似」に到着。

オートキャンプ場があったので、立ち寄る事にしてみた。

小さいながらも中々綺麗な設備で近くには公園があり、海の方に目をやるとこんな奇岩岩がありました。

 

 奇岩岩

 この岩には伝説があるみたいなので紹介しよう〜!(*^□^*;/

 「むか〜し、昔の大昔しの事じゃった。下の方(東の方)で戦いに負けた長が、妻と子供を逃がした。妻は様似まで逃げて来たがとても逃げ切れないと諦めて、子供を抱いて海に入ると岩になってしまった。(アイヌ語でソビラ岩)妻の後を追って逃げて来た夫の長はこれを見て安心し、自分もその西に並んで海に入り大きな岩になった。追いかけて来た敵の長はこの二つ岩を見て悔しがり、強弓でヨモギの矢をつがえ、岩になった長をめがけて矢を放つと、矢は命中して岩は3つに割れて、アイヌ語でウンペレプンゲ(今の親子岩)となったそうじゃ。」

「泣かせる話しやね〜」とパンフレットを見つつ、この後襟裳岬に行った後、果たして「忠類」まで辿り着くか不安になったが再び走り始めた。

様似からひた走る事約20キロ、ようやく「襟裳」に到着。

ここに来て雲行きがかなり怪しくなって来た。

「襟裳岬」へは町から8キロ離れているので、またもやひた走ると途中風力発電の風車が目に入って来る。

そしてようやく襟裳岬に到着。(簡単に書いているけど、かなりの道程があるから、車で行く人は覚悟して下さい。)

 

 午後12時30分

車から降りると風が強い・冷たい!!

やはり襟裳岬は風が強いと言う事で有名でした。

早速、岬の方に移動開始。

防寒体勢にしたけどやはり寒いの〜。

駐車場から歩いて5分位で展望台へとやって来た。

 

襟裳岬の写真 襟裳から日高へ望む写真

左写真:日高山脈が海へと落ち込む襟裳岬。

右写真:襟裳岬から日高方面を眺める。

 

 展望台から見ていると岬の先端に行けるみたいな事を、周りの人達が言っていたけど、この寒さで行く事はないみたいだった。

僕は「ここは挑戦!」とばかり階段を下って行くが、岬の先端まではかなりの距離があるし風が強い冷たい。

我慢して5分程で到着〜!

岬の先端はそんなに広く作られていないけど、何やら看板が設置されていたので見てみるとゼニガタアザラシの説明が書かれている。

内容を見てみると次の様な事が書かれている。

「ゼニガタアザラシは北海道東部沿岸から千島、アリューシャン列島にかけて生息する魚食性で水中生活に適応した体を持つ海の哺乳類。オスは体長200Cm、体重190sにも達する。現在北海道内で確認されている場所は、この襟裳岬と東部のごく限られた場所のみ生息している」と書かれているので岬の先端の方に目をやるけど、アザラシらしい姿が肉眼では確認出来ないけど、目を凝らしていると何となく居る様な感じをするが、いい加減この風の冷たさで耳が痛くなってきたのでここで戻る事にした。

展望台の場所に戻り、入り口に入ると階段が下の方へと下っていたので降りてみると、「シャンシャン」と音が鳴るではないか!

足を止めて耳をすませると聞こえてこない。

「おかしい」と思い、また歩きだすとまた聞こえて来て、手すりに目を向けると手すりの下の部分に鈴が取り付けらており、人が歩くと階段全体が少し揺れて手すりの鈴が鳴る仕掛けになっていた。

階段を降りきると、「風の館」の博物館があった!

けど反対側にある一つの部屋が妙に気になる。

壁に一つ大きな穴が空いていて部屋には手すりしか設置されていない。

「何だろうと」思い博物館に入ると意味が判った。

どうやら先程の部屋は風を人工的に体験出来る部屋みたいだったので、後ほど体験してみると事にした。

その前に入場料500円を払って中を見る。

襟裳岬周辺の風が季節によってどう吹くとか日本・世界の風の動き、風の各名前が色々とある。

2階へと上がるとゼニガタアザラシの毛皮が展示されている。

 

ゼニガタアザラシの毛皮写真

 左側の名前の由来が書いてあったので読みますと、「アザラシの模様が昔の穴の空いたお金に似ていたのでゼニガタとなった。」ってそのままじゃん!(

でも、試しに毛皮に触ってみると、これが中々手触りが良く気持ちいいよ〜!〜〜〜(* ̄▽ ̄*)♪

さて、階段を上って行くとガラス張りの広い部屋に出た。

ガラスの向こうは襟裳岬で階段方式に座って見られるけど、一番下に望遠鏡が5台置かれていて、覗いて見るとその先には岩場で寝そべっているゼニガタアザラシが大量に居る!

「おお〜すげ〜居る!」と感激しつつよ〜く見ると体毛が岩場と一緒で黒ぽい色で保護色になっている。

岬で見た時はこの保護色で見えないなかったのが良く分かる。

しかし、、、、ゼニガタアザラシの説明の書かれた看板を思い出したけど、こやつら餌を取る以外は岩場で寝そべって居るだけと書かれていたけど、本当にひれで身体をかく以外は寝ているよ「何ていい生活、もとい凄い生活している。」

しばらくアザラシを観察した後いよいよ、風の体験時間となったので先程の部屋へと移動すると、関西から来たおじちゃん、おばちゃん達と一緒に体験する事になった。

風が出て来ると遠い場所では少し強い風だが、風速20メートル地点まで来るとまともに息が出来ず、前のめりになっても身体が倒れない。

さらに25メートルまで行くと、身体が後ろへと押し戻され1分も耐えられない状況。

これはこれで楽しい!(* ̄▽ ̄*)

風の体験は結構長い時間楽しめて良かったですよ!来た時は是非お勧め!!

 

 

午後2時

風の館を堪能して外に出るとやはり寒い!

駐車場の脇には店があるが何か高そう〜。

昼飯を食べていなかったけど、何か美味しそうな物がなさそうなので、他の場所で食べようと思い襟裳岬を後にする事にして、車を帯広方面へと向かう国道336号線を走らせた。

途中、「百人浜」に出たけど、あいにく雨が降り始め人の姿なんて見えません。

それにここはいわくつきの場所でもある。

それでは、ちょいとここの百人浜の名前の由来を教えてあげよう〜!ふっふっ。

「上の方にある地図を見てもらって、襟裳岬と書かれた辺りの東側に百人浜があるのだが、ここは広く美しい浜が広がっている。だがその美しさと裏腹に悲しい言い伝えが残っている。それは海の難所として知られる襟裳岬周辺海域で、南部藩の大型船が遭難し多くの水死体がこの浜に打ち上げられ、わずかばかりの生存者も飢えと寒さで亡くなったというもの。その数が100人にもなった為、「百人浜」と付けられた。また夏はキャンプとかで賑わうこの場所も人の少なくなった時に出ると言うそうです。」怖いですね〜。

そんな話しを聞いた事があるので、雨が降り・人が居なく・冷たい風といかにも出そうな三拍子が揃っているので退散!〜〜〜(T●T)

シトシト雨が降り続く中、国道336号線に出たけど、この道路って確か別名「黄金道路」と呼ばれているけど意味が全然知らなかったので、私は勝手に「朝日が黄金の様に見えるから」と名前が付いたのかと勝手に解釈して、車を走らせていたがそんな想像をとは違い。

現実は切り立った崖と海の間に道路が走っている。

時折波が道路まで達して来て、こういう時に限って自分の前で波が来て恐ろしかった。(T●T)

それより怖いのが、こんな状況で工事している人達が居るから怖いですね〜。

黄金道路の連続したトンネルを抜けると「フンベの滝」があったのでここで休憩する事にしたけど、何故こんな写真になったんでしょう?

 

フンベの滝写真

何故滝の横に墓があるんだ〜!〜〜〜(*T▽T*)

ちなみにこの写真には変な物を写っていないので、必死に探さない様に!

しばらくこの辺りに居ると、一つの看板が設置されていたので読んで見ると「江戸時代に襟裳町庶野〜広尾町にルートが建設計画が始まる。しかし、調査の結果、海岸ルート、山岳ルート共に建設が困難が予想されたが、道を切り拓いて行ったが幾度もがけ崩れや波の侵食で道が寸断される度に補修する事が昭和の時代まで続き、この道路が完成したのが昭和9年となるが、それ以降も安全の為に幾度も工事した為に黄金を道路に敷き詰める位、大量のお金が道路建設に投入した為に黄金道路と名づけられた。」

こんな現実的な話しだったとは思わなかった、何だか夢を打ち砕かれた感じです。

休息して帯広方面へと再び車を走り始めた。

 

午後3時30分

黄金道路を30キロ走り続けて、いい加減腹が減ったので目に入った蕎麦屋でかなり遅い昼食をとる事にした。

店に入り席に付いてメニューを見ると蕎麦だけでなく飯も置いてあり、すぐに目についたのが「蕎麦と豚丼のセット」だったのでこれを注文。

でしばらく待って運ばれて来たセットを食べると、腹が減っていたのか分からないけどこれは美味い!

豚丼と蕎麦もあるが味噌汁に御新香も付いて、これが680円と安い!!

いかがです奥さん!(* ̄▽ ̄*)

あ〜美味かった。

しかし時間が無いのですぐに移動開始!

時計の針はすでに午後4時を回って夕日がバックミラーに映り、西の方が晴れている事が分かったが前方は曇っており何だか黒い雲がある気がする。「む〜雨か」(

しばらく走っていたが辺りはすっかり暗くなり、「ここまでか!?」と限界を感じて「大樹」の町に到着したが、車を停めて寝れる場所を探して走っていると、川の側に5台位車が停められ照明が設置されている駐車場があるが、周りには民家が無くポツンとある。

確かに静かだけど、これはちょいと怖い。

このご時世何があるか分からないのでやはり忠類まで行く事を決意!

 

午後6時

ひたすら走って来てようやく忠類の道の駅に到着。(* ̄▽ ̄*)/

そんなに広くはないが中々快適な駅だ!

近くには「忠類ナウマン象記念館」があり、道路工事中に偶然発見された事で有名になったけど、さすがにこの時間ではやっていないので今夜はここで就寝。

 

 

 1日の走行距離220キロ

 

 

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