北の通り道

 

2001年10月15日(日曜)

午前8時

今日は余り気分良く目覚めなかった。

やはり、車の事が気になる。

朝食を済ませてホテルをチェック・アウトをして、地下駐車場に停めてある車のエンジンをかける「キュルルル〜」

「!?」エンジンがかからない!

10回目でようやくエンジンがかかり、地下から出そうとして登り坂に入った途端、エンストして戻っている。

もう一度エンジンをかけてもかからない。

ボンネットを開けて、ペンライトを照らしながら試しにエンジンプラグを見てみると、「うわ〜焼きついてやがる!」これではエンジンがかかるはずが無い。

昨日高回転数で走り続けていたから、プラグ全部が焼きついてしまっている。

これでは仕方が無いので、日産の方に電話してプラグがあるか確認すると、形式のプラグがあるので持って来て貰う事にした。

ホテルの人に経緯を話して、しばらく車を置かせて貰う事にした。

この間1時間も車と格闘する。

 

 

午前11時

ようやく工場の人が来てプラグの交換をテキパキと済ませ、エンジンをかけるがいっこうにスタートしない。

工場の人も変だと思い、何度やっても駄目。

30分を過ぎて工場の方で詳しく見て貰う事になり、結局レッカー車で工場に運ぶ事になってしまった。

とりあえず、自分も同乗して工場まで先に行く事とする。

 

 

午後12時

販売店でしばらく待たされて、昨日の詳しい事情と今日の状態を話していると、整備の人が来て問題がありそうな所を指摘してもらった。

昨日起きたミッションゲージはエンジンルーム内に落ちていて、取り寄せする事はなくなったが、エンジンが掛からないのは、エンジンオイルが点火プラグの所まで来ていたそうです。

別にオイルなんて足していないし、これまで順調だったのに突然起きるなんてありえないが、とりあえず直ると言うのでやってもらう事にした。

明日は工場が休みなので、今日中にやって貰えるとの事。

こっちも旅をしている最中だからその方が嬉しい。

今からやっても今日の夜までかかると言うので、係りの人に車で旭川駅まで送ってもらう事にした。

 

 

午後1時30分

旭川まで送ってもらい駅前で降りたのはいいが、「この後をどうしようか?」と考え込む。

地図は車の中で、荷物と言っても簡単な物しか無い。

しかも時間は夕方までとなり、結果「旭川近辺を見てみる事にしよう」と考えついた。

駅の自動券売機の前に立ち止まり、路線図を見ていると「富良野」(ふらの)が目に止まった。

確か富良野では「北の国から」最終の製作ロケが始まった事を言ってたけど、富良野までは旭川から1時間はかかり、往復2時間もかかってしまうのでこれは却下。

もっと近場で無いかなと見ていると「美瑛」(びえい)があるではないか!?

まだ美瑛には行った事がない。

この美瑛で有名なのは「パッチワークの路」である。

畑が延々と広がり、初夏だとパステルカラーの様に色鮮やかに見えて観光客には大人気のスポット。

レンタルサイクリングでも借りて見て周れば、夕方には充分に間に合うし、修理費用をいくら取られる心配もあってそんなにお金も掛からないので、美瑛に行く事に決定〜!

早速切符を買い、出発時刻を見ると13時37分の列車があったので、これに飛び乗る様に美瑛へと向かった。

 

 

午後2時

14時3分に美瑛駅に到着。

駅前に出るとやはり天気は最高〜!

絶好のサイクリングになると思い、駅前にあるレンタルサイクルしている店に立ち寄り、自転車を貸して貰う事にした。

普通のママチャリを薦められたが、荷物は背中に背負えるのでマウンテンパイクを借りる。

いままでマウンテンバイクばかり乗っていたから、こっちの方が違和感が無い。

店の人に地図を貰い説明を聞いていると、「昨日までこの美瑛でも雨が降り続いていたから、塵がほとんど無いから景色はいいよ!それに夕日も綺麗に見える!」と言われ、車の修理次第では夕日を見ようと思い、マウンテンバイクを借りて、パッチワークの方へとペダルをこぎ出した。

パッチワークの地図

 

簡略した地図を頼りにペダルを踏んで行くと、やはり急な坂道が出た!

「運動不足にはもってこいだな!」と思い必死にペダル踏むがやはり100メートルで断念して押して歩いた。

坂道を登り切ると最初の目的地「ケンとメリーの木」に到着。

路の脇に立つポプラがそうです。

何だか普通のポプラと思いつつ写真に収めてながら、いきなりバテタ。(^^;

他の観光客もベストショットを狙い、写真取り続けている中、再びペダルをこいで「セブンスターの木」を目指すが、この簡略した地図では距離が全然分からん。

仕方が無いので、今来た距離を目安に図って見ると「セブンスターの木まで」5キロも離れている!

平坦な道ではないから、体力が続くとは思えない考えたが「何とかなるでしょう」の考えでペダルをこぎ続ける。

最初は風が冷たく感じ上着のジッパーを閉じていたが、2分位で暑くなり「アチ〜」と言いながら地図を見つつ走り続けた。

 

「北瑛小学校」が目印になっているが、その手前で二股になっているので、少し寄り道をしようと思い逆の右の道へ走る。

登り坂を登り切ると、目の前に北海道の大地らしい風景が広がっている。

「うお〜すげ〜〜!」と周りに誰も居なかったので一人で叫んでました(^^;

草原の向こうに見えるのが雲で隠れているが、真ん中の部分に雪を被った大雪の山々が見える。

寝て見たい気分だけど、地面は昨日まで降った雨で抜かるんでいるので却下。

再びペダルをこぎ出した。

 

目印の「北瑛小学校」を通り過ぎて、中々良い景色があったので何枚か写真に収める。

う〜ん見事な景色が延々と広がる。

初夏の色鮮やか景色もいいけど、刈られて土が出た部分と青々とした作物に分かれ、これも中々なパッチワークです。

走り続けてようやく「セブンスターの木」に到着。

この木も見事に紅葉してます。

CMのセブンスターで撮られただけで、周りには観光客が沢山居ます。

まあ、知らないで来たら「普通の木じゃん」なんて言われそう、、、。

走り続けているのと、風景に見とれていたので時間をすっかり忘れていたので、時計に目をやると午後3時30分を指していた。

この時期の夕日は午後6時位だから、その30分前なら綺麗に見れると思い、「セブンスターの丘」へ行く事にする。

 

地図を確認していると、近くに「親子の木」となる物を発見!

暇だから立ち寄る事にしたが、坂道多すぎてほとんどグロッキー状態の中到着。

3本の木が立ち並んでいて、どうやら真ん中の小さな木が子供らしいが「父親と母親はどっち?」と疑問が沸いて来る。

その手前に「KSDの木」なんてあったけど、まさかあれ?

疑問が二つも出て来て悩ます場所でした。

ここで思った事が一つあります。

ここのパッチワークは農家の人が生活の為に色々と作物を植えたお陰で見事な景色が見れるんです。

だから観光客は道から風景を堪能しなければならないのに、日本人の道徳の無さには痛感されました。

目の前には看板で「農地に入らないで!」と書かれているのに、平気で農地に入って遊び周っているんです。

しかも、親子連れで、、、、開放的になるのはいいけど、物事を教える親が平気でそんな事をするんです。

誰もそんな事を注意しないから、一つ注意してやりました。

無言で看板を指差すと、そそくさとその場を後に立ち去って行く親子連れ。

この「親子の木」は一体何を象徴するのでしょう?

 

再びペダルをこぎ、曲がりくねった道を進むと人がまったく通らない道に出てしまった。

「迷ったか?」と思うが、道は合っている。戻って確認する体力も無いので、走っているとポツンと1本の木を発見。

何だか淋しく1本だけ立っているのを見て、自分も今一人だと痛感されてしまった。

この木の名前を勝手に「名も無い木」どう?

道を進んで行くと長い下り坂に差し当たり、ペダルをこがないで走りだしたけど、途中でこけそうになったので止めました(^^;

 

セブンスターの丘の手前にある横に一直線並んだ木を撮影。

ほどなく走ると「セブンスターの丘」に到着。

う〜ん見事しか言えないの〜。

しかし、ここまでアップダウンが続いて来たのでいい加減疲れた。

しばらく休憩かてら風景を眺めていると、携帯電話が鳴り出した。

電話に出ると、整備工場からの電話で車の修理が出来たそうです。

けれど、完全に直っておらず、何とか走れる状態まで持ち直したそうです。

とりあえず、美瑛に居るので午後6時に旭川で待ち合わせする事にした。

時計を見ると午後4時30分になっているので、急いで美瑛駅まで戻る事にする。

 

午後5時

美瑛駅に到着。

マウンテンバイクを返しながら、夕日が見れない事が悔やまれるが、午後5時30分の旭川行きの電車に飛び乗る。

午後6時30分に旭川に着いて、車を受け取り修理費用を払う。

見事に4万もかかりました(涙)

これでは1周は断念と思いつつ、旭川から富良野方面へと走らすが、はやり完全には直っていない。

坂道では止まる可能性がまた出て来た。

ここで一つの結論を出さなければならない、無理してあと3日だけ旅を続けるか?それともこのまま苫小牧まで戻り、東京へ帰るか選択しなければならない。

この車の調子だと無理は出来ないと考え、このまま苫小牧まで高速で行き、フェリーで帰る事にした。

 

 

午後6時

「旭川鷹栖」インターから乗り、一気に苫小牧まで飛ばす事にした。

うまく行けば、午後11時の東京行きのフェリーに間に合うかもしれない。

手続きとかを考慮すると午後9時30分までは苫小牧港に着きたい。

高速走行なら全然問題では無いが、走り出してからが遅いのでパーキングエリアには立ち寄らず、フェリーの時間に間に合わせる為、スピードを上げて行くが、他の車は140なんてザラなスピードを出している。

まあマイペースで走り、午後7時30分に札幌付近を通過後、千歳付近を走ると、スピードメーターに知らないランプが点滅し始めた。

「無理しすぎたか!?」と見ていると突然消えた。

苫小牧まではあとわずかなので、騙して走り続ける。

 

 

午後9時

3時間走り続けて苫小牧港に到着。

まだ、受け付けているか分からないが、フェリーターミナルの窓口で問い合わせると、今夜の東京行きのフェリーに空きがあり間に合う事に成功。

行きと同じで二等寝台にしてもらい、上船開始の午後10時まで、開いている土産物屋で適当に購入して上船開始を待つ。

午後10時になり、車を船に乗り入れエンジンを切ったが、停めてる場所が気になる。

船底なんで下船する時登りで「エンストして停まったりしないだろうか?」と不安があったが、今更どうする事も出来ないので部屋に行き、寝床の準備した。

 

 

午後11時45分

自分の乗った船はゆっくりと苫小牧の岸壁を離れ、北海道を離れて行く。

さらば北海道〜!

「また来るぞ〜!」と胸に秘めて旅を終わりにします。

 

 家まで走行距離309キロ

 

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