北の通り道

 

2001年10月13日(土曜)

午前9時

眠い〜(

流石に昨日は暴風の中を350キロ以上走りまくっていたから、精神的に疲れた。

さて、本日の一人会議開始。

 

 

稚内市内から今度は南下して行ける所まで行く事にする。だから予定と言う予定は立てないで旅をする事にした。

ホテルを出て、昨日行ったけど何も見えなかった宗谷岬に向かう事に決定〜!

来た道を戻る途中で、また雨が降り始めて来て空模様もやはりヤバイ!

このまま岬の方へと向かっても昨日の二の舞となりかねないので、すぐに引き返して「北防波堤ドーム」に向かう。

港の近くにその場所があるのだが、運が悪いのか補修工事をしており、写真に収めるのを断念。

けれど、ここに誓いを立てます。絶対に稚内にまた来てやる〜!

一ヶ所にいつまでも留まっていても仕方が無いので、国道40号を南下する事にした。

稚内市内から外れて行くと放牧地が広がるはずなんだけど、「No〜!!」霧が出て先が見ない。

対向車もライトを点灯しているが、50メートル以内じゃないと分からない位に凄い霧。

「何も見えない〜」と言いながらひたすら走り続ける事10キロで、ようやく霧が晴れて見渡せる場所まで出て来て快適に走れる。

空模様は曇りだけど、雨雲が南から北へと向かっているので「悪くなる事は無いだろう?」と南へと走る。

 

 

午前10時

宮の台(サロベツ展望台)に到着。

駐車場はさほど広くは無いが、Pキャンしたら絶好の場所だと思った。

高台にあり、民家もほとんど無くトイレも完備!

晴れていたら夜は星が綺麗に見える事だろう。

さて、展望台の方へと移動すると、このサロベツ展望台の説明が書かれている。

詳しい事は忘れてしまったが、天皇親族の方がこの場所を訪れて「宮の台展望台」と名付けられたらしい。

展望台へと上がると、タイミングが良いのか悪いのか、またもや雨が降り始めた。(・−・;

余り遠くまでは見渡せないが、それなりに堪能して展望台内にあるノートに目が止まった。

「何のノートだろう?」と開いて見てみると、ここを訪れた人達が書き残したノートだった。

色々と書かれていて、笑える事も書かれていて結構面白い。

展望台から降りて駐車場まで近いけど、何も急ぐ旅ではないので、木で作られた休憩所で煙草に火を付けた。

周りには誰も居ず、雨と風の音だけが聞こえる、時折風で揺られた木々のざわめきだけが聞こえて来る。

本当に誰も居ない。

しばらく、その場所で自然の奏でる演奏会を楽しみながらボ〜と煙草を吸っていた。

 

30分してようやく雨が弱くなったので、展望台を後にして別の場所へと移動開始した。

 

 

午前11時

国道40号線を走ると「浜頓別」(はまとんべつ)に到着した。

「特に何もないかな?」と思っていたが、目に止まった看板がある。

「最北の温泉、豊富温泉」

「こ、これは〜」と叫ばなかったけど、早速豊富温泉へと進路変更して温泉に浸かる事にした。

浜頓別から10キロの地点に温泉町があった。

しばらくぶりの温泉を堪能する事にした。

温泉に浸かると何か独特な匂いがする。

言うなれば、石油臭い。けれどそんなにきつくない。

色は茶色したお湯で中々変わった温泉である。

効能などの書かれた看板を見ると、ラジウムを含むナトリウム塩化物泉で神経痛、婦人病、皮膚病に効能にあるらしい。

今の自分に必要なのは神経痛だけかな?

だって車の運転は神経をすり減らす事ばかりだから、、(^O^;

飲用する事も出来るけど、やはり石油臭い匂いが気になるが、胃腸に良いと言うので良薬は苦しの気分で飲用しました。

1時間位と短めだけど、久しぶりの温泉で肉体的にも精神的にもリフレッシュ。

 

最北の温泉で開放されて再び車を走らす事にする。

地図を見ると「トナカイ観光牧場」があるのでレッツトナカイ!

 

 

午後12時30分

豊富温泉から南に7キロにトナカイ観光牧場が見えて来た。

車を停めて建物の中に入る。

受付で入場料金を払うと、係りの人が「トナカイの餌はいかかです?」と言われ値段を見ると1袋100円だったので購入してみる。

建物から出ると目の前に柵がありトナカイが居るはずなんだけど、何処にも影が見えない。

おかしいと思うながら道を進むと、立派な角をしたトナカイの群れを発見!

「おお〜居る居る!!」

早速、紙袋から乾燥したとうもろこしを取り出すと、何匹かのトナカイが群がって来た。

近づいて所で手の平に餌を置いて与えると、顔を近づけて餌をむさぼり始めた。

「うわ〜くすぐったい〜〜!」(^ ^

前歯が無いのか分からないけど、舌と唇で餌を起用に食べる。

1匹だけじゃ、可哀想なのでまんべなく餌を与えていると、他に柵に雌のトナカイが「餌くれ〜」と言わんばかり、柵の周りに集まっているので、雌トナカイにも与えて上げた。

 

2枚目の写真のトナカイは角がかゆいのか知らないけど柵に角を押し付けて上下に柵を揺らしていた。(笑)

トナカイとフレンドリー(向こうは思っていないだろう)な関係を1時間築いて、次の場所へと向かった。

 

 

午後2時

国道232号線を走り続ていると、「天塩町」(てしお)の看板が目に入って来る。

国道を外れた道を走っていると、前方の森の脇から風力発電が見えて来たが、1.2.3基と横に並んで立っている。

少し興味本位で天塩川を抜けて道道106号線に出ると、びっくらこいた!

「すげ〜!」の一言。

道道106号線と日本海に平行する様に、風力発電機が一直線に立てられている。

こんな風景は中々見れる物ではないです。

観光ガイドにも載っていない場所だけど、簡単に位置を教えると、道道106号線を天塩町から北に7キロの天塩河口大橋を渡ると、この凄い景観が見れます。

こんな風景を後にして、再び国道232号線(別名:オロロンライン)を南へと移動。

 

 

午後3時

羽幌町の道の駅「ほっとはぼろ」に到着。

いやはや、ここまで右は海、左は山肌で全然見る所がなかった。

仕方が無いので一気に80キロの道を1時間もかからない内に到着。

雨が降らなくなり、うっとうしさが無くなった。

道の駅の建物の中に入ると温泉施設とホテルが併設されていて人の数が凄い。

とりあえず、缶コーヒーを買って落ち着く事にした。

何気に建物の中を見ていると、ポスターが貼られていて「サンセットビーチ」の文字がある。

確かに北海道の西に位置して、すぐ近くは海なので晴れていれば夕日がさぞ綺麗だろうけど、この分じゃ今日は晴れる事も無いし、明日だって晴れる保障は何処にもない。

休憩を終えてサンセットビーチと呼ばれている海岸に行く事にした。

道の駅から1キロで海岸に出た。

高台の駐車場に車を停めて、海岸の風景を眺めると海の向こうにうっすらと島影が見える。

「なんだろう?」と疑問に思い、車に積んである地図を見ると、「焼尻島」(やきしりとう)「天売島」(てうりとう)の二つの島がある。

後で知った事だが天売島はオロロン鳥の生息地だが、年々数を減らして現在では20羽しか確認されていない絶滅危惧種に指定されているそうです。

このオロロン鳥もあと数年したら姿を消す運命になっている事が一番の気がかり。

太陽が出ない寒空の中、しばらく日本海の風景を眺めていた。

風景を堪能したので完全に日が暮れる前に次の場所へ移動開始。

 

 

午後4時

羽幌から20キロ走っていると目の前の山に風力発電機が乱立して立っている。

道路の看板には「グリーンファーム」と書かれている。

それにしてもこれはまた天塩と違う威圧感がある。

遠くからだと曇り空なのでうまく撮影できないと思い、何処か近くで撮影できないものかと探していると、キャンプ場が近くにあったので、そこに車を停めて撮影してみた。

(この他に20基以上の風力発電があった)

より近くで見ると「凄いな〜。」と感心していると、いきなりひょうまじりの雨が降り始めた「なんじゃ〜!」と叫びながら車に避難。

車の中に駆け込むと、フロントガラスに雹が叩きつけている。10分位大人しくしているとやみだしたので移動を開始した。

 

 

午後4時30分

日が暮れる前に道の駅「おびら鰊番屋」に到着。

車を停めて今夜の寝床にしようかと考えたけど、即座に却下した。

それは海風が凄い!

とても普通に寝てられません!!

車が揺られていて、宗谷岬の二の舞状態。

仕方が無いので、休憩するついでに昔の生活道具と鰊漁に関する資料や道具を見て周った。

自分は結構こう言う古びれた物が大好き。

別に骨董趣味がある訳じゃなくて、展示物が好きかも知れない。

なんせ美術館とかも見て周るから(^^;

 

 

午後5時

道の駅を出て寝床を探して車を走らせて南下作戦を続けていると「留萌」(るもい)までやってきたけど、車を停めて寝れそうな場所が中々無い。

キャンプ場でも北海道ではほとんどが9月で閉鎖してしまっているし、道の駅もこの周辺には無いので、進路を内陸部へ移して留萌国道233号線を旭川方面へと向かった。

夕闇が一気に押し寄せて来て、ヘッドライトを点灯させて山道を走り、6時前に旭川の手前にある「北竜町」(ほくりゅうちょう)にやって来た。

ここに道の駅「サンフラワーパーク北竜」があるので立ち寄る事にした。

門前に龍が向かいあったオブジェがあり、竜と龍をかけているのが見てすぐ分かった。

建物の中に入るとホテルと温泉施設を兼ね備えた施設らしく、宿泊客が土産店で浴衣姿で居る。

何か土産になる物は無いかと思い、見ていると向日葵に関する物が多い。

後で分かった事だが、8月の夏盛りに向日葵が沢山咲くそうです。

一通り見て外に出ると、また雨が降り始めて来た。

今夜はここにするかと悩んだが、札幌方面に行くと違う道の駅があるので、試しに行ってみる事にした。

 

 

午後6時30分

北竜町から20キロに南に走ると雨竜町(うりゅうちょう)にある道の駅「田園の里うりゅう」に到着。

駐車場も広く、施設はレストランと土産店しか無いが、ここなら落ち着いて寝れると思い、ようやく今日の寝床を確保する事が出来た。

夕食がまだなので、ここのレストランで食事を取る事にした。

丼物で簡単に済ませて、車に戻り寝床の用意した後に明日は何処に行こうかと思い、地図を広げて見ていると今居る場所から4キロの地点に別の道の駅があったので、暇ついでに行って見る事にした。

 

これが最悪の夜の始まり。

国道275号線を走っていると、外灯が無い事に気づいた!

ヘッドライトを頼りに走り石狩川を渡る為に、道を外れたのが一番の原因。

どうやら田園地帯の道に入ってしまったらしく、辺りは本当の暗闇で追い討ちをかける様に雨が強く降り始めた。

「こんな所で道を外れて田んぼでも落ちたら洒落にならない」と思い慎重に運転してようやく道央自動車道に沿う国道12号線に来た。

何とか道の駅「たきかわ」に到着したけど、灯りが落ちていて駐車場には車が一台も停まっていない。

「ここでも平気かな?」と思ったが、流石にこんなご時世、変な輩に囲まれでもしたら大変だと思ったが、来た道を引き返す自信がまったく無い。

「かと言ってここにいつまでも留まっている訳にはいかない。」と思い、地図を広げて見て旭川なら目の前の道を行けば、辿り着くと思い北海道に来て初めての夜の走行となる。

 

 

午後7時30分

国道12号線を北上する形で旭川に向かう事にしたが、外灯もなく法定速度で走るとトラックにあおられ、フロントガラスには雨が激しく叩きつけている。

この状況こそ恐怖と言う言葉がよく似合う。(^ ^;

そんな中走っていて、ガソリンメーターを見ると、散々走っていたからガソリンが残りわずか!?

スタンドなんてやっている場所が限られて来る。

あっても閉店していて、ガソリンが補給出来ない!

こんな雨が降って暗闇に囲まれた場所でエンストなんかしたら冗談も言えません。

とにかく省エネ運転をする為、暖房を落としてガタガタ震える事1時間半、道路が1車線から3車線に広がり、旭川の街に近づいて来た。

とりあえず、開いているスタンドにガソリンを補給して、旭川にある道の駅「あさひかわ」を探す為、夜の街中を彷徨い走り午後9時30分道の駅に到着。

この3時間で寿命が5年は削った気分。

今夜はとにかく寝てやる〜〜!

 

後日談

今思えば何て馬鹿な行動を取ったのかが不思議でなりません。

 

  1日の走行距離359キロ

 

 

   放浪日記へ戻る  11日目を読む